プロフィール
Profile
Atelier Umemoto
命は短し、芸術は長し
昭和4年、愛知県西尾市に生まれる。22年、郷土の画家・古沢渉に師事。
50年、近代日本美術協会の創立に参加し58年、文化賞。 59年、近美大賞。60年、外務大臣賞。 61年、文部大臣賞。サロン・ド・パリ大賞。画家の作風は正統な写実の形式に基づ渋味ある黄褐色を主調とし、重厚なマティエールの画面形成である。かつてわたしは、こう書いたことがある。「画家は納得ゆくまで塗り込む。だが、それは単にマティエールという絵画的効果を意図し、計算しているためではない。自然対象と自己内部との、曖昧な中間領域を埋めつくすための執拗な精神的作業なのだ。作品の確かなリアリティーは、精神的作業のいわば沈澱物だ」。この精神的作業は、画家の15歳から25歳までの10年間にわたる療養生活に、その原体験が求めれよう。 生と死との問題が青春期の彼を直撃する。 彼は絵画の道にこの問題解決を求める。写実とは、おのれの生の凝視にほかならない。そこにおのれの存在のすべてが横たわる。「写実は古くて永遠に新しい道である。 対象から受ける驚きを表現するのが写実である。 驚きのなかに全てがある。 驚きは無我である。そして自己の全てである」。画家梅本の言葉である。